イイスス・ハリストス(イエス・キリスト)や生神女(しょうしんじょ)マリア(聖母マリア)をはじめ聖人たちを描いた聖像が並ぶ大きな白い浮き彫りの額「イコノスタス」聖障(せいしょう)が、外国にいるような不思議な気持ちにさせられる。ここは、京都市の中心部に建つ、うす水色の外壁の木造教会である。 京都ハリストス正教会・生神女福音聖堂は、ギリシア正教会の京都聖堂として、当時の京都府技師 松室重光の設計・監督のもとに明治34年(1901年)12月に建てられた。 建物は、木造平屋建てのロシア・ビザンチン様式教会堂で、正面より玄関、啓蒙所、聖所、至聖所が一列に並び、最も広い聖所を中心とする十字型の平面構成となっている。聖所と至聖所を仕切っている聖障は、柱と梁で区画されて油彩聖人像のパネル30枚がはめられており、見ごたえがある。聖具はロシアのモスクワから届けられ、燭台やじゅうたんなどはロシアの信者が極東のキリスト者にかける熱い思いが込められている。
この聖堂は、日本ハリストス正教会の聖堂のなかで、本格的なものとしては現存最古の遺構であると考えられる。意匠的にも、装飾が少なく簡素であるがその均整のとれた外観は美しく、昭和61年6月2日、京都市指定有形文化財に指定されている。(京都市中京区柳馬場通二条上ル)
|